岡崎医療株式会社/代表取締役社長 齋藤嘉廣さん

昭和30年代半ばの創業当時、主たる事業はレントゲン装置とそのフィルムの販売であったという岡崎医療株式会社。それから約60年後の現在にまでわたる長い年月、地域医療を担う病院やクリニックなどを顧客としてきた同社は、医療現場の要請にいちはやく応じながら事業のあり方を変化させてきたという。取扱う商品はもちろん、事業領域までも広げつつ、いままさにこの瞬間にも変化をつづけているのだ。

時代がアナログからデジタルへさらにはAIへと大きく変わりゆく今、従来までの仕事のあり方にもまた大きな変化を求められていく。さて、そうしたなかでわたしたちは、就職や仕事について、どんなことを考えればいいのだろうか。同社代表取締役社長 齋藤嘉廣さんにお話を伺った。

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代表取締役社長の齋藤嘉廣さん。山形市の本社にて。


Q:御社はどういう事業をされている会社なのか、教えてください。

齋藤社長:弊社は医療機器の商社として、大きな医療機器から小さな注射針のようなものまであらゆるものを取り扱い、病院やクリニックに販売しています。それだけでなく様々な相談事にお答えするコンサルティング業もしており、病院の勤務医の先生が独立して新規開業する際のご相談にお応えしたり、開業までをサポートしたりというようなこともしております。

また、弊社には薬剤部という事業部があり、山形市内にて6店舗の調剤薬局を営業してます。さらに、生活支援サービスという事業部では、ご家庭に伺って高齢者の方のための料理や掃除や片付けといったお手伝いをしたり、ひとりでは病院に行けない方の付き添いをするような家事代行サービスも行っています。山形と鶴岡の営業所をベースとして、地域の医療や介護福祉や健康といった分野においてお役に立つことをやる、というのが弊社の仕事です。

Q:御社の魅力というとどのようなことがあるでしょう。

齋藤社長:弊社は商社であり販売業ですからモノを売るのが仕事です。けれども、販売するそのモノは全て医療や介護に関わるものですから、その意味ではただのモノの販売業とは全く異なります。その先には患者様や利用者様がいらっしゃいますから、届くべきものが届かないようなことになれば命に関わることになりかねません。その意味では、弊社で働く社員たちには「命を支える重要な仕事をしている」「自分たちがやっている仕事が地域の困っている方の役に立っている」という誇りを持って仕事していただいていると思います。

また、モノは売っておしまいではなく、大事なのはむしろそのあとのフォローです。私たちの仕事では、納品した医療機器や介護機器に不具合があったときにどう対応できるかは非常に大事なポイントです。もしも介護施設でお風呂が壊れたら、利用者の方がお風呂に入れない事態になってしまいますから、どうにか修理して動かせるようにできなければなりません。自分たちがいるからそれが出来るわけですから、自分たちの役割は非常にはっきりしています。

そしてそういう場面でこそ、営業担当がいかにお客様から信頼されてるかが問われます。もしなにかあっても、信頼があれば、ファーストコールが岡崎医療の営業マンに来ます。でも、信頼されてなければ修理の相談も来ないでしょう。そうあるためには、きちんとモノを納めるとか、約束を守るとか、日頃の行動が大切になってきます。顧客の方たちとのふだんの関係性やお付き合いというのは一番重要なことです。

Q:人材についての考えをお聞かせください。

齋藤社長:経営方針のひとつに「徳のある人材を育てる」というのがあります。もちろん「徳」と言っても、他人が嫌がることをやるとか、性格に裏表がないとか色々あるでしょうが、「他人のためにやれることをする」ということではないかと思います。かつて著名な医師の方が「命とは自分が使える時間のこと。子供のときは遊んだり学んだり、自分のために時間を使いなさい。でも、大人になったら自分の時間を他人のために使いなさい。それが命を役立てることなんだよ」と小学生に教えておられました。弊社の社員にも、ぜひ自分だけのためではなく他人のためにできることに時間を使ってほしいですし、そういう人に育ってもらいたいです。

学生である皆さんには、今のうちから心がけていただきたいことが三つあります。ひとつは挨拶をきちっとすること。ふたつめは約束したことを守ること。みっつめは、整理整頓すること。どれもとても基本的なことです。でも、基本が一番大事なんです。



Q:職場環境を良くするためどのような取り組みをされているのでしょう?

齋藤社長:数年前から働き方の改革を担うプロジェクトチームをつくり、私とさまざまな意見を交換しながら改善に取り組んでいます。残業を無くすとか、休みを取れるようにするとか、仕事をIT化するとか、そうしたことを取り入れていくための方策などを定期的に会議しながら改善を進めています。
また私のところには日々、改善提案書というものが社員からダイレクトに送られてきます。それは、例えばトイレに台をつけてはどうかとか、タイムカードをICカード化してはどうかとか、すごく小さなことも含めてさまざまなものがあります。そのほとんどが実際に採用されていますし、これまでほぼ全社員がなにかしらの提案をしてくれています。こうしたことは、自分の仕事の範囲を超えて、周りのことをよく見ているからこそ意見が出てくるわけですので、社員一人ひとりの職場への意識も大きく変わってきたように思います。この積み重ねによって、職場環境はだいぶ変わりましたね。

Q:これから就職を考える学生さんにアドバイスをお願いいたします。

齋藤社長:自分の可能性というのは、案外わからないものなんです。ですから、いろんなことに挑戦することが大事です。失敗してもいいから挑戦してみるという気持ちを持っていただきたい。そして、なにかはじめたら途中でやめないで、継続してやること。ちょっと躓いたくらいで諦めずに続けることを大切にしていただきたいです。あとは、食生活や睡眠など健康管理にしっかりと気を使ってしてほしいですね。今の若い人たちを見ていると、食べものなどもなんでも買えるからこそ、あまり良い食生活ではないように感じられて心配です。

すべて基本的なことですが、それでいいと思うんです。仕事のことは入社してから現場で覚えていけばいい。なにか覚えなければならないときがきたら、それはもう覚えるしかないのですから。でも、そのための素養がなければいけません。あとは「やるんだ」という前向きな気持ちと「頑張ろう」という強い意志とがあれば大丈夫なんです。


Company Data 名称 岡崎医療株式会社
代表者 代表取締役社長 齋藤 嘉廣
所在地 本社 〒990-0025 山形市あこや町三丁目4番3号
  従業員数 88名(2023年4月現在)
  事業内容 各種医療機器・福祉介護用品販売、福祉用具貸与、調剤薬局、生活支援(家事代行)サービス
Webサイト http://www.okazaki-iryo.jp/

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photo & video: Kaho Fuse, Suzuka Sato(strobelight)
text: Minoru Nasu(real local Yamagata




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