山形県内に９店舗を展開し、新車・中古車の販売から車検整備、メンテナンス、板金塗装、レンタカー、自動車保険、リースなど車に関するあらゆるサービスを提供する株式会社カーサービス山形。東北屈指の販売台数を誇るという同社だが、そのコアにあるものは、単に車というモノを売るのではなく、お客様の満足を目指し、お客様の声を聞き、お客様の想いに寄り添うという姿勢だ。

それを表すのが同社の経営理念。「私たちは、感動カーサービスでお客様の車への想いに寄り添い【にこっと】を創造します。私たちは、安心で安全な車社会の実現に取組み地域の【にこっと】に貢献します。私たちは、出会いと感謝を大切に共に学び成長しみんなが【にこっと】の職場にします。」という3つの言葉を掲げている。代表取締役社長の小川大輔さんに、経営理念のもとに社員全員で同じ方向をめざすことの大切さについてお話を伺うとともに、これから就職をめざす方たちへのメッセージをいただいた。

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Q：経営理念のもとに、社員がいかに働きやすい職場をつくるか、を大事にされていますね。

小川社長：経営理念というのは会社の根本です。「会社をどういう方向に進めていくのか」ということは経営者が決めるべきことだと思います。しかし一方で、そこから繋がっていく経営方針であったり、戦略であったり、中期経営計画といった部分に関しては、できるだけ社員から意見を聞くことにしています。社員のやりがいや働きがいやは、トップダウンで指示されるよりも、自分たちの意見が反映された方が絶対に上がってくるもの。また、そのほうが社員みんなの足並みも揃ってくるんですね。社員のモチベーションや働きがいこそが会社を支えているんです。

社員を引っ張るのは、社長である私ではなく、会社の経営理念です。そして、私たちにとって大切なことは、クルマ第一、ではなく、お客様第一である、ということ。車はあくまでお客様と私たちを結ぶツールなのです。その認識のもとに、お客様がどういう想いでその車を欲しいのかをしっかりと聞いて、そのうえでお客様のその想いに寄り添うというのが我々のやるべき仕事だと考えています。

私たちの事業は、基本的には車の販売と整備。あとは車に関わる全てのサービスです。しかし、本当は「お客さまと地域と社員の『にこっと』をつくること」です。私たちが定義する『にこっと』とは、自然と溢れる笑顔のこと。お客様にそういう笑顔になっていただき、その笑顔を見ることで私たちも自然と笑顔になれる。これが地域に広まっていけば、山形という地域はもっともっと良いものになると考えています。

Q：そんな会社のことを、学生のみなさんにどのように伝えていますか。また、どんな人材を求めていますか。

小川社長：いまはデジタル化が声高に叫ばれている時代ですよね。でも、私たちの商売にとって一番大切なことは、じつはそれ以上にやっぱり「ひと対ひと」。どんなときもそれを忘れてはいけません。お客様がどういうものを欲しがっているのか、なにを求めているのか、しっかりと時間をかけてコミュニケーションを取ることです。

正直なところ、車のことは入社してからでも詳しくなれます。私たちが重要だと考えるのは、人としてのもっと基本的なこと。ものごとを前向きにポジティブに捉えることができる、しっかり挨拶ができる、ひとを敬いひとの話にしっかりと耳を傾けることができる、いただきますとごちそうさまが言える…。そういったあたりまえのことをあたりまえにやれる、そういう人間性がいちばん大切です。その人間性がベースにあれば、あとは研修や教育でスキルアップしていけばいいのです。



Q：山形の中小企業で働くことの魅力について、教えてください。

小川社長：山形で働くこととの魅力と、中小企業で働くことの魅力、ふたつがあるのではないでしょうか。

山形の企業というのは、家族的経営をするパターンが多い。つまり、社員との距離が非常に近いということです。そしてまた、お客さまとの距離も近いですよね。ここがすごく大事なポイントだと思います。その近い距離感をうまく活かせるような人材になってくると、山形で働くことの強みが出てくると思います。

そして、もうひとつ、中小企業で働く魅力。それは、自分の考えや思っていることを会社が反映してくれる可能性が高い、ということです。大企業ですとどうしても縦割りになりますから、「あなたはここ」というところに配置されて、ひとつの仕事しかできません。でも、中小企業ならいろんなことを多方向でやらなければいけないので、能力的にすごく上がってくる。そうして獲得した社員の高い能力が、会社の売上や業績に反映される可能性が非常に高いのが中小企業の魅力、ということです。自分がやりたいことを全部やれる可能性がある、というのはすごいことだと思いますね。

このふたつが揃ったとき、山形は若い人たちで溢れた素晴らしい地域になっていくだろうなと思いますね。東京にも負けない、素晴らしい地域になる可能性が山形にはあるはずです。



Q：最後に、これから就職をめざす学生のみなさんに、メッセージをお願いします。

小川社長：私たちの時代は終身雇用が基本で、会社にはずっと勤めるもの、というイメージがありました。もちろん私も経営者として、入社していただいた若い方たちには長く勤めてもらいたいという気持ちがあります。長く勤めることで積み重ねられるものやキャリアや成長というのは貴重ですし、メリットも多いと思います。

しかし一方で、若いみなさんの世代というのは、多様な働き方がどんどん認められてくる時代でもあります。そうしたなかで大切なことは、できるだけ早い段階で自分に合った仕事をみなさん自身が見つけていくことだと思います。そのためには、転職するという選択肢も大事になってくるのでしょう。

いろいろなチャレンジをすることで、自分の得意なこと、苦手なことが見えてくるようになるはずです。自分を客観的に見て、自分の適性を探していくということをぜひ続けていっていただきたいですね。

カーサービス山形　社員インタビューはこちら。

photo & video: Kaho Fuse, Suzuka Sato(strobelight)
text: Minoru Nasu（real local Yamagata）